最終更新:2019年8月5日


第11期理事長就任にあたって
松田康博(東京大学)

 このたび、日本台湾学会第11期理事長に就任いたしました。私自身、若手研究者として本学会の設立に携わる幸運を得ましたが、それからもう21年経ちました。台湾研究のための新たなプラットフォームを作り、発展させてきた諸先輩のご努力に感謝の思いを馳せるとともに、新しく引き受けた責任の重さに身の引き締まる思いです。私は、理事長就任にあたりまして、以下の3つのことをしっかりやりたいと思います。
 第1は、本学会の基本的な機能をきちんと維持することです。本学会には、学術大会、学会誌、ニュースレターの「3点セット」に加え、定例研究会、ホームページ、メールサービス、文献目録などがあります。学術研究のプラットフォームとして、これらをきちんと運営することが私の責務です。特に学術大会と学会誌に関して、「日本台湾学会はすばらしい」という評価が定着するよう、クオリティ・コントロールに努めたいと思います。
 第2は、学会のソーシャル・アウトリーチを強めることです。すでに「台湾修学旅行支援研究者ネットワーク(SNET台湾)」が立ち上がり、本学会としても協力を進めようとしているところです。研究者が象牙の塔に閉じこもることなく、学識と見識をもって社会に働きかけるかどうかは、言うまでもなく研究者個人の判断です。ただ、適切なプラットフォームがないと、何かしたいという気持ちがあっても忙しさにかまけて何もしなくなってしまいがちです。本学会が、プラットフォームとして研究者と社会との架け橋になるよう、努めたいと思います。
 第3は、学会のグローバル・アウトリーチを強めることです。本学会のホームページのリンクを見ていただければおわかりのように、台湾をベースとしない国際的な台湾研究学会としては、本学会以外に、北米台湾研究学会(NATSA)と欧州台湾研究協会(EATS)があります。さらに、台湾研究世界大会(WCTS)が定期開催され、また国際的な台湾研究学術誌として、International Journal of Taiwan Studiesが刊行されました。これらとは、単に研究者個人のみならず、学会としての関わりも求められています。加重負担にならないよう配慮しつつ、本学会が国際的場裏で欠席することないよう、プレゼンスを維持・強化していきたいと思います。
 私の理事長としての仕事は、これらの目標を、できるだけ手間暇かけず、「ちょっとした工夫と努力」を加えて実現することです。研究者の日常は多忙を極めます。理事・幹事をお引き受けいただいたみなさんには、ボランティアで学会運営に携わっていただいています。無理は申し上げられません。ただ、世の中には、ちょっとした工夫と努力をすることで、改善できることがたくさんあります。コスト&ベネフィットの均衡点を求めて、しっかりと学会の運営に努めて参りたいと思います。
 台湾は「宝島」と呼ばれ、「台湾には何でもある」と言われています。重層的な移民が作り上げた活気に満ちた社会には、研究するに値する対象がたくさんあります。日本台湾学会は、「何でもある宝島」を研究する地域研究者のネットワークです。私が専門とする政治学や国際関係論のみならず、経済学、社会学、文学、法学、歴史学、文化人類学、言語学、何でも台湾を対象にすることで広がりをもった研究ができます。
 私は台湾を研究することを突破口として、中国を、日本を、アメリカを研究することができ、研究の射程を全世界に広げることができました。世界各国に出張する中で台湾を見つけ、そして台湾を研究するために世界中を旅することができました。むしろ台湾を知らずして東アジアを語るのは難しいはずだと思っています。会員の皆さんも、それぞれの分野で、異なる研究領域・地域の研究者との交流を深め、台湾研究のすばらしさを伝えていただきたいと思います。
 最後はやや大風呂敷な話になりましたが、日本台湾学会において、これまでにもまして、会員の皆様が活き活きと研究交流を進めることができるよう、今後2年間微力を尽くしたいと思います。ともに励んで参りましょう。会員の皆さまのご協力と、ご鞭撻をお願い申し上げます。

・山口守第7-8期理事長挨拶(2011年) 
・佐藤幸人第9期理事長挨拶(2015年)
・三澤真美恵第10期理事長挨拶(2017年)

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