最終更新:2023年9月13日
第13期理事長就任にあたって
北波道子(関西大学)
このたび、日本台湾学会第13 期理事長に就任いたしました。
25年前、1998年に東京大学で行われた創立大会で会場の後ろの方の席に座っていた大学院生の私は、今日の台湾研究を取り巻くすべての状況を想像することすらできませんでした。今、四半世紀にわたって、日本における台湾研究の牽引役となってきた本会の活動を振り返り、懐かしく、かつ誇らしく思うと同時に、これまで諸先輩方のご尽力と、会員の皆様の努力と熱意によって守り育てられてきた日本台湾学会を引き継いでいくという役目の重みをひしひしと感じております。
理事長就任にあたり、私が一番大切にしたいことは、このように発展し、継続されてきた本会を、大切に、次の世代の皆さんに繋いでいくことです。学会とは学術研究のプラットフォームです。と同時に、地域研究という分野に属する日本台湾学会は、特定の学問やディスシプリンに特化するのではない点がその特徴であるといえます。そのために、各分野における専門的、あるいは先進的な議論が深められる場であり、かつ学際的な研究の発表と議論ができる場であるという、幅と質を同時に維持する必要があります。つまり、日本台湾学会が学術団体としての活力とクオリティを維持するためには、各分野の専門家たる会員それぞれの研鑽と協力が不可欠であったこと、そして今後もあることが肝要であり、一言で継承といっても、それにはとても大きな力の結実が必要になると考えています。
さて、日本台湾学会は、その専門家間のつながりを活用して、ソーシャル・アウトリーチを強めてまいりました。例えば、「台湾修学旅行支援研究者 ネットワーク(SNET 台湾)」との協力関係等、私たちは研究者がその専門知を以て社会に働きかける枠組みを持つことを大切に考えています。また、本会は、学術団体として信頼できるプラットフォームの機能を果たすためにも活動しています。例えば、2年に1度の台湾学会賞、学術賞と特別賞は、日本における台湾研究の水準を世に知らしめる役割を担っています。また、グローバルなつながりとして、世界の他地域における台湾研究学術団体との連携や対外発信活動の強化など、広く日本の台湾研究を代表する窓口にもなってきました。これらの広がりも、マルチディスシプリンの専門家が集う学会の優位なところであると考えます。
このように日本台湾学会は会員それぞれの力を結集することによって25年間、発展を続けてまいりました。四半世紀というと長く感じる一面もありますが、人間の年齢でいえば、25歳はこれから社会に出て活躍していく年齢ともいえます。日本台湾学会がこれからも発展を続け、新しい世代に台湾研究の意義を伝えていけるよう、自分なりに微力を尽くしてまいりたいと思います。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。