定例研究会 歴史・政治・経済部会
第33回
日時 | 2005年4月5日(火) 18:30開始 |
場所 | 上智大学 2号館10階2-1015a会議室 |
報告者 | 山田 賢一 氏(NHK) |
テーマ | 「メディアの”行き過ぎ”を監視―台湾のメディアNGOの取り組み」 |
要旨 | 台湾のメディア界がいま、揺れている。民主化で言論の自由が広がる一方、「国民党の宣伝機関」として教育を受けてきた記者たちの意識改革は進んでいないため、イデオロギー先行による報道が往々にして誤報を生んでいる。大手紙の中国時報は2002年12月に「陳水扁総統へのヤミ献金」という“特ダネ”を一面トップで書いたが、総統府が全面否定すると翌日の一面でお詫びを出した。またテレビ局は2004年3月の総統選挙の際の速報番組で、速さを競うあまり、9局が候補の総得票数を上回る“中間票”を報じた。こうした「イデオロギー偏重」と「過当競争」という台湾メディアの二大問題を何とか改善していこうと、最近学者やジャーナリスト出身者による「メディア監視NGO」が相次いで結成され、関係者の注目を集めている。こうしたNGOには、個々の報道を詳細に分析して問題点を具体的に指摘し、各メディアに改善を求める「告発型」と、商業主義の弊害を理由に公共放送の充実を求めたり、子供に良い番組の推薦を行ったりする「提言型」に大別され、定期的にメディアの問題を考える座談会を開くなどしている。しかしまだ規模が小さく資金に限りがあるほか、各メディアがあまり批判に耳を傾けないという問題も存在する。台湾のメディアの現状と、日本ではあまり見られない「メディア監視NGO」の活動を紹介する。 |