定例研究会 歴史・政治・経済部会


 

第34回

 

日時 2005年5月7日(木) 13:30開始
場所 日本大学経済学部 7号館13階第3会議室

報告者1 森田 健嗣 氏(東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士後期課程)
テーマ 「戦後台湾における国語運動―特に1950年代に注目して―」
要旨 1.問題意識・先行研究
2.「イデオロギー化された中国化」を目指す国語教育
2.1国民党政府の台湾への撤退
2.2国民党の改造と来台者の台湾語学習
2.3国語補習教育に関する法・社会整備
2.3(1)文化改造運動
2.3(2)社会教育法
2.3(3)蒋介石「民生主義育楽両篇補述」
3.「イデオロギー化された中国化」の国語教育の展開
3.1平地における国語教育
3.1(1)民衆への国語補習教育
3.1(2)カリキュラム
3.1(3)「常識科」
3.1(4) 事例(省立台南社会教育館の場合)
3.2軍への国語教育
3.3簡体字運動-国語補習教育の観点から-
3.4山地における国語教育
3.4(1)1950年代の原住民政策-山地平地化運動-
3.4(2)山地の国語運動

報告者2 楊 子震 氏(筑波大学大学院博士課程人文社会科学研究科国際政治経済学専攻)
テーマ 「戦後初期台湾における日本人の引揚及び留用」
要旨 本報告ではまず国民政府による台湾接収の過程を整理し、その作業を通して台湾軍を含む台湾総督府側の対応及びその台湾接収に果たした役割について検討する。また、日本陸海軍の軍人・軍属の復員・引揚と留用されなかった一般人の引揚送還に焦点を絞って、台湾における日本人の引揚の経過を明らかにする。
次に、台湾における日本人の留用政策の確立過程とその内容について考察する。その際には留用政策の実態と問題について、留用された日本人の実務内容を検証するほか、回想録や体験記を史料として使用し、それらの内容の検討を通して、彼らが現場で直面した問題や苦悩を明らかにする。最後に、日本人留用政策が解消された理由について検討する。
本報告では、分析・考察を進めるにあたって、日本及び台湾の公文書を含め、関連官公庁の公刊資料を主に用い、当事者の回顧録や体験記も併用しながら、歴史的再構成を試みた。
項目:
一.導入
二.国民政府の台湾接収
三.在台日本人の引揚
四.在台日本人の留用
五.結び

報告者3 福田 円 氏(慶應義塾大学政策・メディア研究科博士課程)
テーマ 「中国の台湾政策 1954年~1958年―金門・馬祖の「解放」をめぐる合意形成―」
要旨 1958年8月23日、中国人民解放軍は突然金門島を砲撃し、「第二次台湾海峡危機」が勃発した。10月6日に一週間の砲撃停止が宣言されるまで、解放軍はおよそ40から50万発の砲弾を金門島へ打ち込んだ。しかし、金門・馬祖の「解放」に必要な上陸作戦は行なわず、結局これらの島嶼を「解放」しなかった。本論文は、中国の指導者が「金門・馬祖を解放しない」という合意に到達する形成過程を検証することを通じて、毛沢東時代における「一つの中国」政策がどういった要因によって策定されていたのかを明らかにするものである。
項目:
序章.問題の所在
第1章.朝鮮戦争停戦後の台湾政策 (1954年~56年)
第2章.金門・馬祖の「解放」をめぐる議論 (1955年~57年)
第3章.金門作戦の決定過程 (1957年~58年)
第4章.金門・馬祖の「解放」をめぐる合意形成 (1958年8月~10月)
終章.結論―「金門・馬祖を解放しない」決定と「一つの中国」政策