定例研究会 歴史・政治・経済部会


 

第39回

 

日時 2006年2月6日(月) 18:30開始
場所 日本大学経済学部 7号館13階第3会議室
報告者 石垣 直 氏(東京都立大学大学院 社会科学研究科 博士課程)
テーマ 「現代台湾における〈原住民族〉の位置づけ――《原住民族自治区法》草案をめぐって」
要旨  2003年6月3日、台湾の行政院(内閣)は『原住民族自治区法』草案の審議を終了し、立法院(国会)審議へと送った。この法案は、台湾において〈原住民族〉を自称するオーストロネシア語族系の人々が1980年代から進めてきた権利回復運動のひとつの帰結であり、それは草案の名称が示すとおり、彼らの運動の究極目標であった自治や土地返還という問題を扱ったものだった。しかし、同草案が行政院審議を通過した直後、台湾社会のマジョリティである漢族や〈原住民〉自身からも賛否両論が寄せられた。そして、草案の行政院通過から2年半が過ぎた現在、依然として同草案は立法化されていない。本発表では、〈原住民族〉を自称する人々が、現代台湾において法的にどう位置づけられているのかを、彼らをとりまく近年の政治状況の概観、2003年に行政院審議を通過した『原住民族自治区法』草案の内容分析などを通じて明らかにする。