定例研究会 歴史・政治・経済部会
第40回
日時 | 2006年4月22日(土) 13:30開始 |
場所 | 明治大学駿河台キャンパス1095教室(リバティタワー9階) |
報告者1 | 田上 智宜 氏(東京大学大学院) |
テーマ | 「台湾における客家意識の形成」 |
要旨 | 1 序論 1.1 問題意識/1.2 先行研究 2 客家――中国で誕生したエスニック概念 2.1 羅香林『客家研究導論』再考/2.2 台湾における「客人」/2.3 小括 3 「客人」から客家へ 3.1 歴史の管理/3.2 「尋根」――台湾のルーツを探す史跡会の活動/3.3 エスニック概念の流通/3.4 小括 4 客家意識の表出 4.1 社会的背景/4.2 客家運動の発生/4.3 客家運動の成果/4.4 小括 5 結論 |
報告者2 | 家永 真幸 氏(東京大学大学院) |
テーマ | 「分裂中国国家と故宮博物院」 |
要旨 | 国民党政権の遷台から今日に至るまで、台湾の故宮博物院は、台湾を統治する政権が国家としての自己規定をいかにして正当化するのか、という問題と密接に関わってきた。本論は、1950~60年代の国民党政権が、故宮文物に対し、「国民の利益を代表していることを示す物証」および「国家間関係の構成員としての『中国国家』の地位を保持するための外交カード」としての役割を期待し、その保護をきわめて重視していたことを示した。これは、「国際社会」と「国民」という二方向から承認を取り付けることで、「中国国家」としての自己規定を正当化しようとしたものと見ることができる。資料としては、国史館の公開する外交部や教育部の文書、これまでに編纂されてきた故宮博物院の院史、『中央日報』『連合報』などの新聞記事などを使用したほか、『人民日報』などを基に大陸の共産党政権側の動きにも注意を払った。 |